舞台【スペースなスペース】感想
東京・池袋にあるアパートに暮らす男たち。
何の変哲もない若者たち。でも、その正体は宇宙人!
ここは、狭くて広い、宇宙な空間。
白柳力さん(こちらスーパーウサギ帝国)脚本・演出の舞台、「スペースなスペース」観劇しました!
決して大きいとはいえないステージ、宇宙というハイスケールなテーマがメインの作品だったのですが、白柳さんがパンフレットに書いていたように
あえてのそれが面白い作品だったと思います。
以下ネタバレもりもりの感想
ステージが暗くなり、開演。
疲れた顔でドアを開けて帰宅する‘’会社員宇宙人‘’(山沖勇輝さん)。
コーヒーを買って飲んでみようとするけど開け方もわからず、噛んでみたり握ってみたり…宇宙人だから、開け方が分からないんだね、なるほど…
どたばたと登場する‘’高校生宇宙人‘’(高間淳平さん)。
あれ?今ドアをすり抜けましたよね!?この人たち本当に宇宙人だ!!
地球では宇宙の力を使ったらメ!!なんだよ!と会社員宇宙人に怒られる高校生宇宙人。バレちゃうと面倒だもんね今の時代は。
さらに、‘’板前宇宙人‘’(谷津翼さん)と‘’お笑い芸人宇宙人‘’(菅野結城さん)。
またドアをすり抜けた!!怒られた!!
(板前とお笑い芸人って、人間でもハードルが高い職業なのに…)
案の定、お笑い芸人宇宙人は早々に‘’宇宙人YouTuber‘’になってる!でもこっちも
ハードル高いんじゃ…チャンネル登録者数1人て!誰だよ!
宇宙人として人間界に入り込んでいて、でも思ったより大変なんだよね、という設定が理解できるスムーズな舞台進行。おもしろ~!
そして急に現れる地球人兼ベテラン自宅警備員の深沢さん(秋沢健太朗さん)。
登場の仕方が怪しすぎる。忍者か??
ドアを開けて、「空いてたら入るよね~…。入れたら上がるよね~…。」このセリフ、言い方も大好きです。この人絶対変な人だ!!
ただ、ここまで宇宙人しか出てきていないので、はぐれ宇宙人かな?と、途中まで本気で思っていました。だって一番変な人だったから…
深沢さんが部屋をうろうろしていると、帰ってくる宇宙人たち。思わず隠れる深沢。
でもかばん忘れてる!ばれちゃいそう。
すると、深沢さんが持ってきて隠し損ねた鞄に入っていた小道具達に興味津々な
宇宙人たち。ここで物ボケ大会スタート!
おかしな侵入者が持ってきた、おかしな小道具を使う物ボケ大会…楽し~!
(サイリウム、ラケット、ギャッツビー等々…日替わりネタもあったみたい!)
演技とアドリブが混ざった感じ、個人的に大好きです。なんだか、ガラスの灰皿が文鎮に見えてきた~
深沢さんが、四人に部屋の中にいることがバレてしまうシーンで
某有名宇宙人映画の登場音楽が流れ、え!?そっち(笑)?!となる。
こういう細かいネタ好き。
エイリアンは2が一番面白いんだ~!今度見てみます!
深沢さんのサイリウムで大はしゃぎしながら舞台セットを移動させ、ちょっと暗転。
流れでうまく回収される小道具。
どの舞台にも絶対にある、小道具の移動、暗転がうまいこと演出されているのみると
ゾワゾワする!裏方と表のはざまを見ている感じがたまらない…
そして、なんだかんだで仲良くなり、それにしてもどうやってこのアパートが分かったの?と聞かれ、元気よくYouTubeを見ました!と答える地球人深沢。
ん…?YouTube…?チャンネル登録…?
みんなで宇宙人YouTuberの動画を見る。「…場所は、東京・池袋!番地…」!!
番地まで言ってる(笑)!!爆笑しました!ここに繋がるんかい!!しかもチャンネル
登録者の1人って深沢か!!
流れが面白すぎる。
こんな感じでポンポンテンポよく進んでいくお話。でもなんで地球にきてるの
この宇宙人たち…と思ったところで、
宇宙人は地球を侵略するために地球に来てるってことがさらっと深沢さんに説明されてしまう。だよね~!逆にこの流れで侵略以外になんかあったら教えてくれ!
しかも地球人同士で殺し合いさせるようにするらしい、怖!!
こいつらには心がないのかな~ああ、宇宙人だから無かった!!しかも三日後に?
ラストofアスじゃん…深沢なんとかして止めてくれ~!
というか、深沢さんが色々教えたせい(おかげで)地球侵略が早まったらしい。じゃあだめだね…
ここで宇宙人たちの底抜けに明るい性格が急に怖く感じてくる。怖いよ~~!
そんな中、高校生宇宙人がラブレターをもらって帰ってきた。「もっと近づきたい、
あなたのことが大好きです。」
まっすぐな言葉で書かれたラブレターをもらってさぞ喜ぶのかと思いきや全く響いた様子がない高校生宇宙人。しかも手紙の意味がわからない!!って本人に言ったらしい。
こんなん言われたら泣くじゃん? 泣いたらしい。だよね…
深沢が、無い恋愛知識を総動員させながらなんとか彼女の愛について説明しても反応薄。逆にこんなことを言われる。
「深沢さんは、地球に二十何年住んでるのに、ラブレターもらったことないんすか?」
「宇宙人の俺が、地球に来て二週間(だったかな)経って、もらったのに??!」
もうやめてあげて!深沢のライフは0よ!みたいになっちゃった…!!死にたい気分になるよねそりゃあ…
というかこの場にいる宇宙人達に全然ラブレターの愛が刺さってないんですよね。
まぁもう地球あと三日で終わるし、べつにいっか!みたいなノリでどんちゃん騒ぐ
宇宙人たち。深沢さんも死にたいみたいだしちょうどいいよね!って…
口からさらっと出てくる死にたい~ってべつに本当に死にたいわけじゃないっていうの、地球人ならわかると思うんだけど、宇宙人には通じないみたい!
深沢「愛は地球を救いませんでした!!地球の皆さんごめんなさい!!」
2●時間テレビの闇が分かってると一言で二度おいしいこのセリフ面白くて好きです。
面白いのに怖い…
ラブレター事件のあと、そういえばとほかの宇宙人も愛について心あたりがあるらしく、それぞれ深沢に聞く宇宙人たち。
会社で首になったけど同僚たちが呼び戻してくれるよう働きかけてくれた…これも愛?
寿司屋の大将がお前に厳しくするのはお前が一人前になってほしいからだと言ってきた…これも愛?
なぜかYouTubeがクソバズりしてコメント欄で「生きがい!辞めないで!」(地球終わるからYouTuberやめますみたいなこと投稿したらしい)と書かれる。…これも愛?
一生懸命説明する深沢。親愛、師弟愛、色々な愛の形があるんだよね!ここでいい感じにまとまってきた~いいぞ!と思っていたら、
うるせ~~~~~!!!!しらね~~~~!!!めんどくせ~~~!!!!ファイナルファンタジ〰〰(某有名履歴書ネタ) 的なノリで深沢の説明を一蹴する宇宙人。
もう終わりだ…
地球の人にこんなに愛されているのに全然響いてないじゃん…
やっぱり愛は地球を救わないんだね…今までありがとう、地球!
ついに、今日が地球ラストの日。最後だからと宇宙人は深沢に話す。
実は社会人宇宙人、何回か地球に来てるらしい。え~ベテラン!だからほかの宇宙人より怒りっぽいのかな?
来る度に、人間はなんて不完全で未熟な生き物なんだろうと思っていて、愛だのそんなものがあるから地球人は…と思っている。
でもそんな目には見えないものに、宇宙人たちは救われた。その事実は変わらないものなんだよな~!
と、ちょっとしんみりしていたら、もう最後だからとはしゃぎすぎて寝入ってしまった深沢を取り囲む宇宙人たち。これ消されるじゃん深沢…
宇宙人「やっぱり地球侵略やめま~す!!」
え?
地球みたいな星、侵略しても意味ないんだって言ってやった!って、地球人に対する愛ってこと?!愛あるじゃん~!!なんだ、ちゃんと愛が響いてたんだね…
話のオチとして、ここにいたる経緯や展開が愛を通して丁寧に描かれているから理由もちゃんとうまくまとまったな~と思い、この結末になったのが好きでした。愛は地球を救う…
最後に、地球人と接触したらその記憶を改ざんしないといけないからってことで謎のビームを当てられる深沢。宇宙人の不思議な力〰
そして、ここからは深沢さんの回想シーンになります!
この後の展開が私は一番面白くて好きでした。
(記憶を改ざんされた)深沢がとあるアパートの一室に入ると、そこには宇宙人が!!
襲い来る宇宙人に迫真の殺陣で戦う深沢。狭いステージの上できびきび動き回っていて、役者さんすごい…
変な深沢ばかり見ていたので、ちょっとここでかっこいいの良い!となりました!
(なお全部改ざんされた記憶)
そして、深沢が武器として取り出したのは、まさかの冒頭に出てきた小道具!!!最高~!!!!
伏線回収、小道具の設定回収、そういうの個人的に大好きです!!!
鞄からボンボン飛び出す小道具達…おかしなものばっかり出してくるので変に印象に残るなぁ…なんかあるのかなと思っていましたがまさかここで出てくるとは!
サイリウム、ラケット、ギャッツビー…全部最後で回収してきた!すごい!気持ちい~~~!!すべての小道具が最後の役目を果たしていくさまがたまらなく好きです!!!サイリウム、最初に折られていたのに頑張って光ってくれていたね~
まるで少年漫画の伏線回収が如く・・・うん、最後の流れは完全に少年漫画だ。大好きです!!
さいごはガラスの灰皿で殴られ、ギャツビーを吹きかけられ、ヘナヘナしながら去っていく宇宙人。妄想?だもん、このゆるさでも良いんだよね。面白~!!
回想がおわり、部屋をじっと見つめる深沢。そこに宇宙人はいない。でも確かにそこにスペースはある。後ろ姿しか見えない深沢。いまどんな気持ちなの?
私たち観客は
深沢の妄想も、体験した現実もすべて見ているのに、いえば手品のタネまでみているのに、あまりにも部屋ががらんとしているのであれ、何もなかったんだっけ…という気持ちになった。
でもそれは決して殺伐としているものではなく、なんだかフワフワしたような、目に見えない大きななにかが部屋にあるかのような不思議な気持ちになる。
部屋を出る深沢。改ざんされた記憶でも、現実でも、そこには確かにスペースなスペースがあって、その事実だけは本物で、なんだか不思議な気持ち。そしてそれはなんだかあったかい。
まさにSF(少し不思議)な終わり。
とても面白かったです。見てよかった~!
以下
照明や舞台のセット、役者さんの演技について。
まずは深沢壮平役の秋沢健太朗さん。
SF好きな自宅警備員役(恋愛経験なし)。宇宙人に対する突っ込みや動き、テンポががフルハウスのキミーみたいですごい好きでした。なんか外国人ぽいんだよな~
キャラクターの性格上、笑いどころはたくさんあるのですが、演技、目線などがすごく丁寧で、秋沢さん自身のキャラがあってのこのキャラクターなんだなと
思える人でした。殺陣やソファーの上に飛び乗る姿が軽くてすごい…
板前宇宙人役の谷津翼さん。
チャラい宇宙人その①。
この人板前さん絶対向いてないよ~!!って思わせるキャラの演技うますぎません?
宇宙人にはハードルが高い職業だと思います…
なんか動きがチャラくて、この人の底抜けに明るい演技がすごく宇宙人ぽくて好きです!物ボケとかで出てきたり、ドアすり抜けて登場すると
ステージがパッと明るくなり安心しました!服が白いからかなぁ…
YouTub…じゃなくてお笑い芸人宇宙人役の菅野結城さん。
チャラい宇宙人その②。この人リアルでもYouTuberになれそう…って思いました。すごい元気で、物ボケのシーンで何回も同じネタ言うの好き。台本なのかもしれないけど
あのこなれてるような演技見るとすごい笑えました!楽し~!電話のシーンの演技とか、スマホの操作の演技が細かくて大好きです。
こういう人いそうって一番思える人かもしれない。
高校生宇宙人役の高間淳平さん。
出てきたときほんとに高校生かと思ったくらい高校生役がはまってました!
ナチュラルすぎるくらいに深沢さんの傷をえぐる演技が前のめりで、めちゃくちゃ面白く、すごく自然でした。
確かにラブレターもらうだろうなというビジュアルもリアリティがあって最高!
社会人宇宙人役の山沖勇輝さん。
最初、山沖さんが部屋のカギをあけるところから始まるのですが、そのシーンの演技すごい好きです。一瞬で物語に引き込まれる感じがしました。
破天荒なほかの宇宙人たちに突っ込みを入れるわりと常識人なポジションで、
基本的にどんなボケ突っ込みを入れるシーンが、もう全力だな~って伝わって来すぎで面白いです。
山沖さんの目の演技がめちゃくちゃ好きでした!
ステージのこととか。
最初、開演前にステージを見ることができたのでじっくり見ていたんですが、照明がすごい宇宙ぽい。テーマが宇宙だから当然ちゃ当然なんだけど…
まさにSFなライティングで、開演ぎりぎりになるとちょっとスモークが
出てきていたんですよね。スモークって謎にテンション上がる~!ってなって、良!
深沢の改ざん記憶シーンで使われた歌舞伎っぽい照明の動き!!大好きです~!!
音響のことはよくわからないので想像なんですけど
人の動きに合わせて効果音をならしているのかな、だとしたらタイミングが
ピッタでそこもすご~!ってなってました。
全部が合わさってひとつになるこの感じ、小さな舞台にポンっとはまっていて
うまく活かされていたんだなぁって見た後思いました。本当に面白かったです。
あとがき
舞台ってちゃんと見た後のエネルギー消費がすごいんだ…
私自身、高校演劇なんかは学校でみたことはありましたが、不真面目に見てしまっていたので…申し訳ないことをしたな…
とにかく、
プロの方の舞台を見に行くのは初めてで、こういう風に感想を書くのも初めて…全然まとめられずくそ長になってしまいました。
メモもとっていなかったので間違っているところなんかもあるかもしれません。
でも、5人が感想待ってますって言ってたし、いいかなぁ~~^^!書いててすごい楽しかったです!
最後まで読んでくださった方が一人でもいましたらうれしいな~なんて思ってます。本当に面白い舞台をありがとうございました!!